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チームが一つになった瞬間

from 宮城哲郎

前回の記事はこちら → コチラ

 

見事、前半のうちに先制点を取ることが出来た琉球代表、

地元の威信にかけて必ず攻勢に出ると踏んだ僕は、

ハーフタイム中に選手達に2つの事を指示。

 

1つ目は、立ち上がりの10分はとにかくハイプレッシャーを行う事。

2つ目は、DFラインをあげる事。

 

この2つの指示だ。

 

 

前半のうちに、僕らが引いて守ってくると

想定しているはずだと思ったので、

 

逆にそこをついて、後半最初の10分で

相手のペースを乱したいという考えだ。

 

もし、後半が始まり立ち上がりから時間が経っても、

得点に繋がる事にならなかったら、きっと相手は焦る。

 

僕は、そう見たのだ。

 

そして、後半が始まるのだが、

見事にその作戦はうまくハマる。

 

元々、中盤の選手を多く試合に入れていたせいか、

労を惜しまないタイプの選手ばかり。

 

むしろ、後ろで引いて守っていたのがストレスだと言わんばかりに、

積極的にボールを奪いに行った。

 

何度もCKを獲得して追加点の匂いすらも感じたのだが、

そこは、代表選手も所属しているだけはある。

 

堅い守りでなんども弾き返される展開になった。

 

相手にペースを握られる展開に

そうなると、今度は若さが出たのか、

自分達の方が攻め焦ってしまうことになってしまう。

 

不要な突破を試みてしまい、

カウンターを幾度となく受けてしまったのだ。

 

そこで、僕はチームのエースとしての役割を果たしていた、

背番号11の仲宗根を思い切ってDFラインに下げる。

 

彼は、テクニックもさることながら戦術眼もあり、

何よりスピードがある選手だった。

 

彼を中心に例え、相手にカウンターを受けても、

スピードを持って対応しようという策にしたのだ。

 

この様な、ネガティブな状況の中で引いて守ることは、

逆に心理的にもリスクしかないと思った僕は。

 

後半の残り時間も相手と打ち合う事を選択したのだ。

 

そういう意味では、仲宗根のこの試合での活躍は、

本当に大きなポイントになったと思う。

 

 

高さも強さも、そして速さもある相手に対して、

クレーバーに守ってみせる姿に。

 

正直、かなり驚いたのにを覚えている。

 

こうした緊迫した状況が続いた後半も、

残り10分を切ったところで。

 

試合を決定づける場面が訪れる。

 

選手同士のアイディア

それは、後半35分に訪れたCKでのチャンス。

 

ボールを持ったのは、背番号6の恩納(オンナ)

 

一進一退の攻防において、

ここで得点できたら試合は決まる。

 

その様な重要な場面だ。

 

大柄な選手達が多く一筋縄ではいかないと悟ったのだろう。

 

助走に入り、彼が選択したボールは、

ニアでも、ファーでもなかった。

 

ペナルティエリアを大きく外した、

グラウンダーでマイナスのボール。

 

ペナルティーエリアにある半円付近に

出したボールだった。

 

相手選手はもちろん、

うちの選手達も全く予想が出来ないボール。

 

「ミスか?」そう思った瞬間に一人の選手が後ろから走りこんできた。

 

それは、この試合、中盤登録でありながら1トップとして起用した、

背番号15の山城だ。

 

大学も同じで年齢も同じである二人は、

まるで計った様に正確にこの難しいプレーを、

全く誰も予想しない時間帯にやってのけた。

 

ダイレクトで蹴り込んだ山城のシュートは、

物凄い強烈な勢いで飛んで行き、

キーパーが全く反応できないコースへと吸い込まれて行った。

 

僕のサッカー人生の中でも、中々お目にかかることが、

出来ないようなスーパーゴールに全員がコートに飛び出す。

 

「これで勝負は決まった」

そう確信した瞬間だった。

 

その後、すぐに溜まっていた山城を下げ、

背番号22の小橋川を投入。

 

激しい試合の雰囲気に、緊張を隠せない様子だったが、

「コートに入る前に大声出して入っていけ!必ず、その緊張が取れる」

そう指示をした。

 

こういう展開で試合に加わるのは選手としも本当にシンドイ、

「この流れを、もしも自分のせいで壊してしまったら…。」

 

そういう不安が襲うのだ。

 

だが、彼はそれを見事に克服した、

山城と入れ替わってコートに入る瞬間。

 

「あとは任せろ!」そう言って、

叫びながらコートに入って行った姿を思い出すと、

今でも胸に込み上げる物がある。

 

大学生といえば、もう立派な大人だ。

そんな彼が、周りをも気にせず一人気合いを入れて入っていく姿は。

 

誰の目にも勇気づけられただろう。

 

調整もまともに出来ず、異国の地で、

しかも休み無しで、地元チーム連戦という劣勢のゲーム。

 

FWとして出場したのにも関わらず、残り時間の全てを、

コートの端からはじまで相手選手にぶつかって行くプレーは、

チームを大きく救った。

 

途中、アクシデントもあったこともあり、ロスタイムも長かったのだが、

そのままこの試合も勝利する事が出来た。

 

この壮絶な試合がもたらした物のは、本当に多かった。

 

自信や勇気、そう言ったものに加えて、

急造チームに欠けがちな一体感や同じ目標に向かおうとする絆。

 

一回りも、二回りも成長した選手達を見て、

誇らしくも、少しだけ羨ましかったことを覚えている。

 

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