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世界で戦う事を伝えてほしい。

琉球代表のチーム強化は、全て宮城哲郎氏に任せている。

ご存じない方もいらっしゃると思うが、チェアマンを務める私宮城亮の実の兄である。

まぁ私どもの仕事ぶりを知っている方であれば、お互い兄弟だからというような仕事は一切しないし、むしろ兄弟であるが故に厳しく言い合うこともある。今日は琉球フットボール協会の強化のトップとしての哲郎氏について話をしたい。

彼は、現役時代はJリーグ選手としては活躍しなかったものの、FC琉球所属時にJFLで活躍し、その後もっと挑戦したいとブラジルに渡り2部リーグのクラブでもプレーをした経験がある。

そして2014年から3年間行われた「東アジア国際サッカー大会」では、選手兼監督として14年15年と2連覇を成し遂げた。

・・・とまぁ海外でプレーや指導を経験したというのは素晴らしいことだが、そんなに珍しい・輝かしいものでもないだろう。

ではなぜそれでも哲郎氏に依頼をするのか??

それは、琉球フットボール協会の想いを選手たちに伝えるほしいからである。

琉球代表の重み

琉球という名前を名乗るとき、それ相応の覚悟が必要だ。

勝手に、沖縄出身だからと使って良いものではないと私は思っている。

なぜなら、私たちは沖縄県民として生まれ、今まで日本人として生活してきたからだ。

もしかしたら血の中に、眠っている遺伝子の中に、「琉球」があるかもしれない。しかし我々はそれを確認できないし、証明することもできない。

しかし海外を旅して回っていると、「琉球」を感じることができる。

例えば、この空港での表示画面。

目的地:琉球(沖縄)と書いているのがわかるだろう。台湾から沖縄に向かう飛行機ではこの様に表示される。

またアジア大会に参加した際も、現地のファンが「琉球!琉球!」と応援してくれたりもした。

この様に、私たちは外に出て、海外に出て、相手が僕らを琉球と認識してくれて初めて、自分たちが何者なのかを感じることができた。

緊張の涙

第一回目の東アジア大会でこんなことがあった。

琉球代表の中心メンバーである選手が、途中出場しようとピッチサイドで控えていたときのことである。

その選手は、大学リーグで得点王にもなる様な選手で、チームメイトからも信頼される中心選手だ。その彼をゲームの流れを変えるために投入しようとしたときの一コマ。

会場全体が、相手チームの応援に周り、完全アウェー状態。我々もリーグ戦中盤、ここを落とすと一気に上位争いから脱落してしまうという状況。

コーチの役割も勤めていた私が、本部に交代を申し出て、その選手とピッチサイドで交代を待っていた。

その時「タスクさん、やばいっす!手足が震えてます!」と涙を流しているんです。

彼は名門高校出身なので、緊迫した試合も大きな大会も経験はしてきたはずだ。そんな一番経験もある中心選手が、初めてピッチに入るのが怖いと感じたのだ。

今までも、自分や仲間の練習の成果を背負いながらのゲームはあったであろう。しかし国を背負うという大きな責任感を彼は初めて経験したのだ。

この大会には、琉球代表が日本の代表ということで出場している。相手サポーターももちろんその様にこちらを迎える。そんな状況で彼は涙を拭いピッチに向かって行った。

僕は大した声かけをしてやることもできず、頑張れとともに涙を流すしかできなかった。

しかし、哲郎氏は全てそのあたりのメンタリティーも見ていたのである。

練習中や台湾に入ってからの食事・行動なのでこういった選手の状況を見抜いていた。

だからあえてスタメンを外し、彼に自ら大きな一歩を踏み出させたのだ。中心選手だった彼が、なかなか思う様な結果が出せていなかった。そこであえてもう一度リスタートさせたのである。それも一種の興奮状態で始まるのではなく、冷静に状況もこの試合の重要性もこれからの戦い方もあえて全て話、彼に背負わせるだけ背負わせてピッチに送り出したのだ。

もしかしたら違う結果になっていた可能性もある。しかし監督として彼を信用したのだ。

彼は見事に期待に答え、試合の流れを変えてみせた。その後の試合はいうまでもなく彼がチームをリードする場面が多く見られた。

この様に、選手たちに技術の指導や戦術の指導をするだけでなく、一人一人のメンタルの管理も行いながら大会を進めていくことに私は脱帽した。

この様な戦い方は、彼が国内でも海外でも大きな試合で自ら決断し行動してきたからこそわかることなのであろう。

今沖縄の子供達に何が必要なのか?それはサッカーだけではなく、自分たちが住んでいる町について考える、家族のあり方を考える、人生を考える上でサッカーを通して何を経験させた方が良いのかという視点で考えた先にこの様なことがあるのである。

こういったことができる哲郎氏に私は琉球代表の強化をお願いしている。

ともに大きな一歩を踏み出したい選手も安心してぜひ飛び込んできてほしい。

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