from 宮城哲郎
前回の記事はこちらから→「周りからの過小評価」
前回の記事でも書いたのだが、台風の到来により、
僕らが台湾に到着したのは試合の前日の午後。
現地入りしてからボールを蹴る時間すら取る事が出来なかった。
空港から2時間以上もバスにのり、
開催地の台中市に到着。
正直、道中の間…
「1時間ぐらいは身体を動かそうかな…?」
そんな想いもあったのだが、バスの中の選手の様子を見て断念。
それよりも、
「部屋ついたらリラックスしてね〜」
こっちの方が選手的には良い様な気がしたからだ。
僕も選手時代の経験の中で、
移動後の練習がメンタル的にシンドイのは経験済み。
もちろん試合までの時間があれば、そうしただろうが。
今回は、「初の海外」という選手達も多かったので、
とにかくリラックスして欲しいという事を優先にした。
ただ、そうは言っても翌日は開幕戦。
しかも相手は地元、台中でナンバー1の大学チーム。
今回のこのチームはAチームとBチームという2チームを大会に参加させているが、
台湾代表に選手を何人も輩出してるチームだけに油断は出来ない。
周りの評価から言うと、現役のA代表、そして中国リーグの参加が、
決まっている選手を要するAチームに力があるという情報なのだが。
そうは言っても、開幕戦のキックオフの時間は、
現地時間の15時30分。
夏の台湾はとにかく暑くて、蒸し暑い。
相手はフレッシュの大学生ときたわけだから、
お互いにチームの雰囲気は似た感じだろうと思ったので。
そういうのを加味して、選手達がのんびりしている間に、
対戦相手の情報をリサーチ。
過去の数試合の情報や、現地でプレーしている学生に世間話という名の情報収集を行なう。
(沖縄から留学した子が、ちょうどウチのチームのアテンドでね。笑)
・チームの雰囲気や、年齢層。
・どういう指示を日頃から受けているのか?
・紅白戦の様子や、上手くいっている時に選手達はどのような行動をとるのか?
・試合中、上手くいってない時に、真っ先に取り乱す選手(またはスタッフ)は誰か?
・その時、コート内でどういう会話をしているのか?
・ボールが堅いのか?グランドの芝生(特に地面)はどうか?
・彼女を連れて来る選手がいるのか?そういう選手はチームでは中心かどうか?
とにかく、色々な角度からそのチームを、
1つの人物像にイメージできるまで掘り下げて対策を練った。
そうすると、不思議な物で相手の隙も見えて来る。
例えば、なぜ後半に失点が多いのか?
そのような現象1つに対しても色々なチームの性格が見えて来る。
単純に、持久力が無いかもしれないし。
ウォーミングアップの仕方を間違ったかもしれない。
監督が、後半に必ず選手を交代する場合には、
その交代意図が外れている場合もあるし。
変わった選手が、実は途中からギアを上げる事が苦手な場合もある。
今回はBチームという構成なので、
もしかしたら、この大会を通してAチームへのアピールをしたいと
意気込んでいる場合もあるだろう。
このように1つの「後半によく失点をする」という現象に対しても、
サッカーの切り口から、普段の活動の切り口、集団の性質の切り口、
選手達が置かれている現在の状況の切り口などなど。
様々な要素をあぶり出すことで、
実際に試合をする際には様々な準備や対策が出来るというわけだ。
あとは、そういう物を加味した上で、
自分達のチームに置かれている状況や出来る事を踏まえて。
どういう戦い方をするのか?を決定し。
その戦い方が限りなく実行できそうなメンバー構成を考える。
うちのチームは若い。
開幕戦1つ取るだけでも、
だいぶ、その後の勢いも変わって来るので。
そういう意味では、どんな戦術を取るのか?という事よりも、
どのような戦い方、戦略の部分を特に重視した日になった。
いよいよ、翌日は開幕戦。
この話は、次回の記事でお話しよう。
次の記事はこちら「いよいよ開幕戦!」
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