from 宮城哲郎
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見事、初戦を勝利する事で波に乗った琉球代表。
2戦目の相手は台湾代表選手も所属する「台中市選抜」と、
翌日のナイターゲームで対戦する。
近年の、台湾のサッカー人気によりテレビやCMなどの露出も増えたせいか、
視察した試合でも多くの歓声に包まれる様なチームだった。
実際のプレーを見ても、想像以上に「組織化」されている印象で、
日本のプロクラブ等で勉強もしたということなのか。
典型的な4−4−2のフォーメションをとり、
ディフェンスラインでしっかりボールを回しながら、
一度、ボランチ(セントラルMFな役割)にボールを預けて、
少しずつ全体のラインを押し上げて攻めてくる。
相手陣地までボールを運ぶと、
一気にサイドチェンジを行なって的を左右に振り。
手薄になったサイドで数的優位をつくりながら、
サイドを崩して中で待つ2トップにクロスボールを入れる。
そんな典型的なサイドを崩す事を得意とした、
オーソドックスなゲーム展開をするチームだった。
そして、それを可能にしているのが、
彼らの持つ高いフィジカル能力だ。
とにかくキック力も高いので、
一気に局面を変える事が出来る選手が揃い。
そして、長身にも関わらず物凄く足の速いツートップが、
コート狭しと走り回るプレースタイルに。
「いかにして、その武器をつぶしながら得点を奪うのか?」
そこが試合の勝敗をわける大きなポイントとなった。
素人目線で分かった好機
さて、そんな事から。
「相手の弱点はどこか?」
そういった事をテーマにスタンドで試合を観戦し、
ゲーム分析をしていたところ。
チームバスの時間が来たので、
帯同してくれた学生マネージャーが僕を呼びに来たのだが。
この日で全てのチームの試合を
見ておきたいという事もあったので。
「すまないけど、タクシーでホテルにもどるから
みんな先に戻る様にスタッフに伝えてもらって良い?」
そんなことを伝えながら、
このマネージャーとやり取りをしていたのだが。
このマネージャーが面白い事を僕に伝えてきたのだ。
「監督、さっきから次の対戦相手のチームって、
いつも同じ人がアレコレと威張って指示をしてますよね?
なんか、怖いです…!」
そう伝えてきたのだ。
確かに、よく見ると明らかに同じ選手が中心となって、
試合を動かしている印象が見える。
ちなみにポジションはボランチの一角だ。
最初は、よくある光景だと思って気にもしなかったのだが…
※実際、僕も試合中は怒鳴るぐらいゲームを仕切るので。笑
このマネージャーの一言が気になり、なんとなく注視していると。
単にゲーム中に目立つだけでなく、そもそもほとんどの攻撃が、
この選手から「極端」なぐらい始まっているではないか。。。
どのぐらい「極端」かと言うと、
まずDFラインがボールを回しながらサイドバックまで動かすと。
まるで約束事の様に、その選手にボールを入れようとする。
タイミングが合わない場合は、サイドバックからまた攻撃をやり直して、
逆サイドまで動かし、そこでボランチにボールをいれる。
2、3度、このようなローリング(DFラインだけで左右にパスを回す事)をしかけて、
それでも駄目な場合は、前線に大きなロングボールを入れる。
それがパターンだ。
だが、チームとしてはしっかりと組み立てた状態で、
ボールを回すという意図があるせいか。
2、3回ローリングをした後のロングボールに対しては、
前線があまり準備していないのでボールは相手陣地に放り込まれるのだが。
相手選手が攻撃に加わるまでには、
時間がかかっているので対応がしやすい。
だが、反対にしっかりとこのボランチを経由した攻撃は、
かなりの確率でゴール前までボールが運ばれシュートまで持っていかれているので。
いかにして、この選手を「自由にさせないか?」
これが次の試合の最大のテーマになった。
聞くところによると、
この選手は台湾の代表選手にも選ばれる選手であり、
前線の2トップの一角の選手も
中国のリーグに呼ばれているということなので。
そういった情報と、実際に目で見た試合を照らし合わせると、
かなり相手チームの骨格が分かってきた。
結果的に、この事がきっかけでこのマネージャーは、
僕と一緒にゲーム分析班として試合をスカウティングする羽目になるのだが。笑
サッカーというものをいかに「客観的」に観る事が出来るのか?
この視点が本当に大事な事なのだという事を、
改めて再認識させてくれた事に本当に感謝している。
今後のスケジュールは翌日の試合がナイターで、
その次の日は試合は無い。
ということは、若干無理をして試合までの準備をしても、
コンディションにはそう影響は無いと思ったので。
明日のナイターゲームの前に、
午前中、戦術練習をする事を決意。
選手達に「オフあげるから頑張って(笑)」
そう笑顔でごまかして、翌日の練習をすることにしたのである。
そして、その日に一体どんな練習をしたのか…
それは次回の記事でお伝えしたい。
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